小笠原の旅記録(3日目)
朝起きてびっくりした。風が半端ない。台風の並みの強風。テレビの天気予報で確認すると、北風の黄色マークで、波も3メーター以上。
「こんな波じゃ海に出られない」と部屋の皆さん。「ミス・パパヤ」のツアーも中止。幸いか私は、この日、自転車で父島を一周しようとしていたので、海には出ない。でもやはり、自転車にとっても風はやっかいものだ。
9時ごろ、パパヤさんにマウンテンバイクを借り、父島を時計回りで出発した。まず、島の北西部にあたる大根山公園に向かった。大根山公園は島の方の墓地公園で、高台から二見港が見渡せた。続いて、島のランドーマーク「ウェザーステーション」こと三日月山展望台へ。展望台では、島の北側の海を見渡せたが、強風のため寒くなりすぐに退散。三日月山の方にも行こうとしたが、にわか雨にたたられ、途中で断念。
大根山公園から二見港を望む
大根山公園からウェザーステーションを望む
一旦、登った坂を下り、北西の浜へ向かう。まず宮之浜へ向かったが、途中、同部屋の米田さんに会う。「この波じゃとても泳げない。別の場所へ行く。」とウエットスーツ姿に自転車で引き返してくるところだった。程なくして、宮之浜へ。確かに波は強く、サーファーが数人いただけだ。続いて、宮之浜の西にある釣浜にも行ったが、同じように波は強い。
宮之浜
釣浜
浜辺を見たところで、本格的な山登りコースへ。島の山間部の夜明山・中央山への道へ向かった。奥村の集落を少し入ったところから、キツイ急坂。九十九折の道と強雨風で、まったくペダルが進まず、ところどころ自転車を押して行く。坂途中で、海でのツアーに代えて、山のツアーに出ていた、パパヤさんの車とすれ違う。夜明山の手前に旭山の登山口があり、当初予定していなかったが、自転車を止め、旭山の山頂に向かった。旭山には2つピークがあったが、距離が近い、南峰山頂へ。山頂では、台風並みの強風で立っていられない。二見港の眺めが最高だが、カメラもぶれるほど。そそくさと退散し、道路に戻ったところで、昼食のパンをかじる。
旭山南峰から二見港を望む
昼食後、再び夜明山に向かったが、途中にでかいパラボラアンテナがあったので寄ってみた。これは、国立天文台の持ち物で、日本全国に4基ある宇宙の銀河系全体の観測するアンテナのうちの一つ。
写真を撮ろうとした時、でかいアンテナが急に向きを変えた(5分おきぐらいに1回動く)ので、びくっとした。その後、夜明山に着いた。着いてびっくりしたが、首のない二宮尊徳さんの像があったり、戦争の時代に使われた建物(戦跡)があり、かなり怖いスポットだった。でも、初寝浦展望台からの初寝浦の眺めは、抜群に良い。
国立天文台のパラボラアンテナ
初寝浦展望台から初寝浦を望む
夜明山から中央山に向かう途中、見たこともない道路標識を見かける。動物注意の看板だが描かれている動物が珍しく、なんとヤドカリ。島固有のヤドカリが多く見られるとのことで、標識があるようだ。また、ここに来るまでも何種類かのヤギの標識を見かけた。ヤギもまた島にはたくさんいる。夜明山から見た、初寝浦へは、道路から1時間半山道を下りさらに来た道を引き返し登るとのことで、断念し、代わりに自転車を置き、中央山の山頂を目指した。山頂に向かうまでに、同じ宿で、昨日いっしょにお酒を呑んだ、高畠さん、廣畑さんに会う。「山頂は風が強いですよ。」と、予想通りの状況だ。行ってみるとやっぱりという感じで、腰がひけた姿勢でどうにか写真を撮った。
「ヤドカリ注意!」
「ヤギ注意!」
中央山からは、ダウンヒルで一気に下り、小港海岸へ。時間と体力があれば、昨日見た、ジョンビーチ、ジニービーチまで行けたが、時間と体力的にきつかったのでやめ、代わりに小港海岸に自転車を置き、コペペ海岸への往復ハイクに出た。しかし、これが結構、こたえた。近いように見えていたが、断崖を越えるコース。どうにか、コペペ海岸に着いたが、一休みが必要だった。休んでいる時に、ひとりの女性がラジカセの前で、音楽をかけながら踊っていた。しばらく、見ていたが、どうやら踊りはフラダンスで、夕陽がいい感じだったので、写真を撮ってもいいかのお願いついでに、話しかけた。彼女は元々、関東出身だが、小笠原の職場の関係で住み始めたようで、島のフラを習っていて、「内地より、講習料は安いですよ。」とのこと。陽が傾き始めたので、再び引き返し、小港海岸から宿に戻った。
小港海岸
コペペ海岸でフラの練習
宿には、5時ごろ着き、同部屋の人と今日の話しをする。夕食は、米田さんとある居酒屋の南国カレーを食べたが、これがおいしい。島唐辛子を使ったカレーで、病み付きになる辛さ。満足したあとは、再び宿に戻り、昨日とほぼ同じメンバーで、お酒を飲む。2日目ともなると、みなさんの素性が分かってきます。