第13回 受難の山陰ロード <敦賀~出雲>
敦賀のまちから国道27号線に乗り換え、山陰路を行く。
敦賀からは、海岸線沿いに走るが、山陰の海岸線は、非常に入り組んでいる上に、小刻みのアップダウンが続く。舞鶴からは国道178号線に乗り換え、ひたすら西に走り、天橋立の玄関まち、宮津に入った。
天橋立は、言わずと知れた日本三景の1つで松並木が並ぶ3.6kmの浜の道で、自転車でも通ることができる。「三人寄れば文殊の知恵」の文珠堂で知られる智恩寺や名水百選の磯清水に寄る。特に風景がすばらしいと言うことではないが、海を横切る松並木の道を走るのは気持ちがよかった。この日は、天橋立近くの岩滝のまちのお風呂に入り、海岸でテントを張り泊まる。
次の日は、丹後半島をエスケープして、国道312号線で西に向かった。久美浜からは、再び国道178号線に乗り西へ。高さとかつての列車の転落事故で有名な余部鉄橋の下をくぐり、鳥取県に入った。
鳥取といったら鳥取砂丘が有名なので、砂丘に寄った。砂丘にはなぜかラクダが観光用でいたが、道路から海までの距離は結構あり、浜辺をトコトコと歩いた。浜辺といっても十数メートルの砂の山になっているところもあり、結構歩きにくい。何とか海の見えるところまで行くと、砂が目に入るほど風が強く吹きつける。砂丘は、この日本海からの強い北風と日本海の荒波が作ったといってもいいかも知れない。
砂丘をひと回りした頃には、日はすっかり落ちていた。砂丘でテントは張れそうになかったので、砂丘からさらに西に向かった気高の海岸でテントを張った。気高のまちには幸い銭湯があったので、早速お風呂に入った。お風呂の後は、近くのお店でお弁当を買い、テントで夜の安らぎの時間を過す。
静寂に包まれた浜辺からは、イカ釣り船の漁火(いさりび)がホタルのように遠く揺らいで見える。
次の日は、山陰の海岸線沿いを更に西に向かうが、海に近いこともあり、風が強く吹く。しかも、時より西から強く吹き付けてくるので、やっかいな向かい風となる。自転車で走っていてつらいのは、登り道と向かい風だ。ペダルをこいでもこいでも前に進まない。いつもなら、20km/hのスピードで走れるはずなのに、10km/hぐらいにしかならない。こればっかりは、スピードを上げようにもどうしようもない。海岸線沿いの道の脇には、なしとらっきょう畑が並ぶ。仕方なしに、途中、お土産屋さんに寄り、なしを頬張る。
もう少しで、島根県に入る米子市にこの日は泊まることにした。米子には、皆生温泉があるので、ホテルの日帰り温泉に入ることにした。テントは、海の家近くで張ろうとしたが、テントを張るがめんどくさくなり、海の家にあるベンチで横になり、寝てしまった。そんなことが原因で、翌日思わぬ災いを招いた・・・
次の日、ベンチで寝たものの目覚めはよく、いつものように身支度をして、自転車を走らせた。朝食を取るため、近くのスーパーに寄ったときに、異変に気が着いた。
「財布がない!」
どうやら昨日寝ていた間に、誰かにスラれたようだ。昨日寝ているとき、財布を入れていたかばんを枕代わりにしていたにも関わらず、スラれてしまった。財布には、2万円ほどが入っていた。幸い、現金と郵便貯金のカードを別にしていたので、旅の資金を全部失うことにはならなかった。もし、現金と郵便貯金のカードをスラれていたならば、旅を一時中止したかここで諦めざるを得なかったと思う。「不幸中の幸い」とはこのことだと思い、郵便局で現金をおろし、旅を続けた。失った2万円は痛かったので被害届けを警察に出そうかと思ったが、いちいち警察に行き、経緯を説明する時間がもったいないと思い、諦めた。
財布をスラれたショックを受けつつも、西に自転車を走らせた。出雲のまちに入り、国道から外れ、出雲大社に寄った。出雲大社には、休憩するように境内を散策した。出雲大社に寄った後は、湖陵のまちで温泉に入り、近くの公園でテントを張った。
●30日目 8/23(日)、晴れ時々くもり、走行距離137.6km
敦賀(福井県)→小浜(福井県)→舞鶴(京都府)→岩滝(京都府)
●31日目 8/24(月)、晴れ時々くもり、走行距離160.7km
岩滝(京都府)→豊岡(兵庫県)→鳥取(鳥取県)→気高(鳥取県)
●32日目 8/25(火)、晴れ時々くもり、走行距離82.8km
気高(鳥取県)→米子(鳥取県)
●33日目 8/26(水)、晴れ時々くもり、走行距離93.6km
米子(鳥取県)→松江(島根県)→出雲(島根県)→湖陵(島根県)
⇒ここまでの走行距離2922.0km
<第14回へつづく・・・>
敦賀からは、海岸線沿いに走るが、山陰の海岸線は、非常に入り組んでいる上に、小刻みのアップダウンが続く。舞鶴からは国道178号線に乗り換え、ひたすら西に走り、天橋立の玄関まち、宮津に入った。
天橋立は、言わずと知れた日本三景の1つで松並木が並ぶ3.6kmの浜の道で、自転車でも通ることができる。「三人寄れば文殊の知恵」の文珠堂で知られる智恩寺や名水百選の磯清水に寄る。特に風景がすばらしいと言うことではないが、海を横切る松並木の道を走るのは気持ちがよかった。この日は、天橋立近くの岩滝のまちのお風呂に入り、海岸でテントを張り泊まる。
次の日は、丹後半島をエスケープして、国道312号線で西に向かった。久美浜からは、再び国道178号線に乗り西へ。高さとかつての列車の転落事故で有名な余部鉄橋の下をくぐり、鳥取県に入った。
鳥取といったら鳥取砂丘が有名なので、砂丘に寄った。砂丘にはなぜかラクダが観光用でいたが、道路から海までの距離は結構あり、浜辺をトコトコと歩いた。浜辺といっても十数メートルの砂の山になっているところもあり、結構歩きにくい。何とか海の見えるところまで行くと、砂が目に入るほど風が強く吹きつける。砂丘は、この日本海からの強い北風と日本海の荒波が作ったといってもいいかも知れない。
砂丘をひと回りした頃には、日はすっかり落ちていた。砂丘でテントは張れそうになかったので、砂丘からさらに西に向かった気高の海岸でテントを張った。気高のまちには幸い銭湯があったので、早速お風呂に入った。お風呂の後は、近くのお店でお弁当を買い、テントで夜の安らぎの時間を過す。
静寂に包まれた浜辺からは、イカ釣り船の漁火(いさりび)がホタルのように遠く揺らいで見える。
次の日は、山陰の海岸線沿いを更に西に向かうが、海に近いこともあり、風が強く吹く。しかも、時より西から強く吹き付けてくるので、やっかいな向かい風となる。自転車で走っていてつらいのは、登り道と向かい風だ。ペダルをこいでもこいでも前に進まない。いつもなら、20km/hのスピードで走れるはずなのに、10km/hぐらいにしかならない。こればっかりは、スピードを上げようにもどうしようもない。海岸線沿いの道の脇には、なしとらっきょう畑が並ぶ。仕方なしに、途中、お土産屋さんに寄り、なしを頬張る。
もう少しで、島根県に入る米子市にこの日は泊まることにした。米子には、皆生温泉があるので、ホテルの日帰り温泉に入ることにした。テントは、海の家近くで張ろうとしたが、テントを張るがめんどくさくなり、海の家にあるベンチで横になり、寝てしまった。そんなことが原因で、翌日思わぬ災いを招いた・・・
次の日、ベンチで寝たものの目覚めはよく、いつものように身支度をして、自転車を走らせた。朝食を取るため、近くのスーパーに寄ったときに、異変に気が着いた。
「財布がない!」
どうやら昨日寝ていた間に、誰かにスラれたようだ。昨日寝ているとき、財布を入れていたかばんを枕代わりにしていたにも関わらず、スラれてしまった。財布には、2万円ほどが入っていた。幸い、現金と郵便貯金のカードを別にしていたので、旅の資金を全部失うことにはならなかった。もし、現金と郵便貯金のカードをスラれていたならば、旅を一時中止したかここで諦めざるを得なかったと思う。「不幸中の幸い」とはこのことだと思い、郵便局で現金をおろし、旅を続けた。失った2万円は痛かったので被害届けを警察に出そうかと思ったが、いちいち警察に行き、経緯を説明する時間がもったいないと思い、諦めた。
財布をスラれたショックを受けつつも、西に自転車を走らせた。出雲のまちに入り、国道から外れ、出雲大社に寄った。出雲大社には、休憩するように境内を散策した。出雲大社に寄った後は、湖陵のまちで温泉に入り、近くの公園でテントを張った。
●30日目 8/23(日)、晴れ時々くもり、走行距離137.6km
敦賀(福井県)→小浜(福井県)→舞鶴(京都府)→岩滝(京都府)
●31日目 8/24(月)、晴れ時々くもり、走行距離160.7km
岩滝(京都府)→豊岡(兵庫県)→鳥取(鳥取県)→気高(鳥取県)
●32日目 8/25(火)、晴れ時々くもり、走行距離82.8km
気高(鳥取県)→米子(鳥取県)
●33日目 8/26(水)、晴れ時々くもり、走行距離93.6km
米子(鳥取県)→松江(島根県)→出雲(島根県)→湖陵(島根県)
⇒ここまでの走行距離2922.0km
<第14回へつづく・・・>
8/23~8/26のルート地図(クリックすると拡大された地図が出ます)
余部鉄橋<左>と鳥取砂丘から日本海を望む<右>(香住、鳥取)