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その5 「ファシリテーター」ってどういう役割の人?

 今回は、「ワークショップ」で「学びの促進者」となる「ファシリテーター」の役割をご紹介します。

 「ファシリテーター」という言葉は、「促進する」、「助長する」という意味の英語の「ファシリテート」(ちなみに、名詞形は「ファシリテーション」です)からきています。したがって、その機能を担う人、つまりワークショップの「進行促進者」として「ファシリテーター」が登場してきます。

 しかし、単なる司会者ではなく、はたまた人の上に立て教える先生でもない。「ワークショップ」とい場において、参加者を支援し、促進する。また、参加者が心を開いて、自ら学びを得られるような場作りをする。時には、そそのかし、参加者の能力や特質を引き出し、参加者が動くまで待つこともある。
 こういうふうに、「ファシリテーター」の理想の姿を挙げていくときりがありませんが、ワークショップでは「ファシリテーター」が、大切にしなければいけないのは、参加者を思いやることです。参加者が本当に楽しんでいるのか、学んでいるのか、納得がいっているかなど、可能であれば参加者1人1人に、気を使うことが必要です。これは、ワークショップの主役が参加者であるため、人前で話す先生や司会者のように「ファシリテーター」が主役になっては、参加者の主体的な学びを生み出し難くなってしまうからです。
 しかし、かと言って「ファシリテーター」は、参加者任せにしていいかと言うとそうではありません。参加者がワークショップで行き着く目標(全体の場の最終成果)まで、脱線しないようにワークショップを進行させることが必要です。参加者の中でグループを作り、もしグループ内での議論や作業がその場の目指すべき姿から離れた時は、しかっり戻してあげることをします。ただ、「これは違いますので、こうしなさい」というのではなく、「いまの議論はテーマに合っていますか?」や「グループでやるべきことはシェアできていますか?」など、参加者が自ら脱線していることに気づいてもらうような投げかけをすることが大切です。

 また、ワークショップに限らず、「ファシリテーター」という役割がいろいろなところで注目をされはじめています。
 例えば、企業では会議を円滑に進めるためファシリテーターを司会者に代わって置いたり、行政やNPOなど異なる組織や団体が協働して仕事を進めるために仲介として立つ協働ファシリテーターがいたりと、活躍の場はさまざまです。
 これからは、きっと「ファシリテーター」という職業ができ、プロとして働く人が増えることでしょう。

 次回は、「ワークショップ」を取り巻く人(参加者、ファシリテーター、プロデューサーなど)の関係から、「ワークショップ」を捉えたいと思います。

●参考図書:『ファシリテーション革命』(中野民夫著、岩波アクティブ新書)
●関連団体:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

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