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旅コラムの最近のブログ記事

 みなさんは、今までどれくらいの旅をしたことがありますか?
旅といっても、数ヶ月以上に及ぶ長期の旅もあれば、日帰りの旅もある。
また、海外へ一人旅や仲間とドライブという旅まで人それぞれで、数えたらき りがありません。

 でも、どうして私たちは旅をしたくなるのでしょうか?
劇作家・演出家の平田オリザさんは若い頃の旅をまとめた本の中で、人から「なぜ旅をするのか?」と尋ねられると、「何故、理由なく旅に出てはいけないので すか?」と答えたそうです。
 旅をする理由も、人それぞれだと思いますが、人が旅をする理由にはいくつ かのパターンがあると思います。
(もちろん、私が勝手に思っている分類です。特に根拠はありません。)

1.日常の生活(仕事や人間関係のしがらみなど)からかけ離れた所に行きたいという、ちょっと「逃げ」な理由から
2.旅を共にする人(友達や家族など)と楽しい時間を過すため
3.体を休めたり、精神的なリラックスを求めたり、おいしいものを食べたりする欲求を満たすため
4.知らない土地や人、文化などに触れ、新しい知識や体験、出会いを得るため
5.自転車で日本一周や秘境への探検など、自分の可能性をチャレンジするため
6.仕事の出張や身の上の問題など必要に迫られ、旅をしなければいけないから
7.特に理由が見当たらないが、ただなんとなく旅したかったから

 このうちどれか(複数もあり)に当てはまると思います。

 旅をしたくなった時、改めて「何で旅しようと思ったのか」、この上の分類 で考えてみると面白いと思います。結構、旅の計画は、意識していないで漠然 と思い立つものですが、「いまこんな気持ちで旅したいんだ」と自分で旅の理 由を意識し「気づく」ことで、旅の捉え方も変わってきます。

 例えば、私が自転車で日本一周をしようと思った理由は、上の分類で、1、4、 5でした。なので、例えば1であれば、旅の最中は、旅の前の日常生活を省み ながら、旅で得たことを旅の後の生活にどう活かして、よい方向に変えていく か意識をしていました。

 そうすることで、旅で起こる色々な出来事に対して、違った切り口で旅を捉 えることができると思います。道中、ホームシックになり、もう帰りたくなっ たとき、出発前の気持ちを整理すると寂しくなくなることもあると思います。

 「旅したくなった」という時から、実はもう旅は始まっているのかもしれま せんね。
 「旅がしたい!」と思い立った時、自然と頭の中で、「あんなところに行っ て、こんなことをして、泊まるところは・・・」とイメージを膨らませていき ます。しかし、案外その時に、「旅の計画書」を書いてないことが多く、いざ 旅に出た時に、「そういえばここも行きたかったんだよな」とか、「お土産を 買うお金がちょっと足りない!」なんてことになったりしていませんか?
 「旅に計画書なんて必要なの?」という方も多いと思いますが、結構、計画 書は準備の段階で大切になってきます。準備を確かなものにして、旅のトラブ ルを防ぐことにもなりますし、あとあと残るものとして思い出にもなります。

 計画書にまとめるのは、俗に言う「5W2H」の項目です。項目をそれぞれ紹 介しますと次のようになります。

 「What」は、旅で何をしたいかという旅の中身です。例えば、温泉に浸かり に行くと旅や富士山に登りに行く旅など、どんな旅をするかということです。

 「Why」は、何のためにその旅をするのかという目的です。文章で書いてみ ると、はっきりしてきます。私たちが普段、旅するときに案外ここが抜けてい ます。目的がはっきりさせ、旅先での行動を注意していないと、旅から帰って きて「そういえば、なんのために旅に行ったんだっけ?」と思い出すことに成 りかねません。例えば、日ごろの疲れを取るために温泉に浸かりに行ったのに、 温泉はほどほどで、お土産を買うためにお店廻りをしてしまい、疲れて帰って きたといことはありませんか?疲れを取る旅なら、極力旅先では体を休めるこ とを心がけましょう。

 「When」は、いつ旅をするのかという旅をする日時を示す場合と「○泊○日」 のように旅をする期間を示す場合があります。学生や社会人の人であれば、休 みに旅をする場合が多いのでおのずと休みの期間でできる旅のスケジュールに なります(場合によっては、ずる休みや有給休暇、休職ということもあります が・・・)。また、旅先のお祭りを見に行くなど、その時その場でしか味わえ ない旅であるときも、スケジュールが決まってくると思います。

 「Where」は、旅する場所です。これは、旅の中身や目的と関係してくると 思います。中身や目的がはっきりすると、具体的な場所も決まることもありま す。例えば、国内の世界遺産のうち、自然の世界遺産を見に行く旅とするなら ば、鹿児島県の屋久島や秋田県・青森県の白神山地などになる。

 「Who」は、誰と旅するかということですが、もちろん自分ひとりの「一人 旅」もあります。

 「How much」は、旅の予算のことです。どこから旅費を捻出して、どこでい くら使うのかあらかじめ考える。旅先でお金がなくなり帰れなくなったら大変 ですので、ちゃんとお金のプランニングもしましょう。

 「How」は、主に旅先まで行く交通手段のことです。これは、日程と行き先 に左右されると思います。特に海外の場合、帰りの飛行機がフィクスで取って いると飛行機の便に間に合わなければ、せっかくのチケットを無駄にしてしま います。

 あとは、旅に名前をつけると、よりその旅に行くのが待ち遠しくなります。 「祝、阪神優勝!大阪食い倒れツアー」、「日本一周、チャリの旅」などタイ トルをつけると、ちょっとした旅も面白さを増してきます。

 これらの項目を書いていくと、あなただけの「旅の計画書」が出来上がりま す。この計画書を旅を共にする人に見せたりできますし、旅の直前にその旅で 得たいことをチェックすることもできます。
 みなさんも今度、旅の前に「旅の計画書」を書いてみてはいかがでしょうか?

 なお、「旅の計画書」フォームのサンプルと記入例を作ってみました。ウェブサイトからダウンロードできますので、よかったら参考にしてみてくだ さい。(ダウンロードには、Adobe社の「acrobat reader」が必要です。)
●「旅の計画書」フォームサンプル
http://www.j-tabikobo.com/kouza/projectsheet-form.pdf
●「旅の計画書」記入例(私の「日本一周、チャリの旅」の計画書です)
http://www.j-tabikobo.com/kouza/projectsheet-sample.pdf
 「さー、行きたいところは決まったから、行く場所をまず知ろう!」と思っ たら、みなさんはどうしますか?
 多くの方は、旅先のガイドブック(国内なら「○るぶ」、海外なら「○○の 歩き方」など)を買い、情報を得ることだと思います。また、最近ではインタ ーネット環境が整備され、ウェブで現地の情報を得ることも可能になりました。  しかし、これらの情報は、旅先の一部のことしか扱っていないことや時には 誤った情報が入っていることがあります。
 特に、海外の場合は、いくらグローバル社会になったといっても、私たちの 日本人にとっては文化も歴史も違う異国です。その国のことを知っているよう で、案外知らないことはたくさんあります。

 ガイドブックやウェブで情報を得ることは、大変参考になるのですが、一番 有効な情報の得かたとしては、普段から新聞やテレビなどで、その土地の情報 を得ることだと思います。特に、政治や歴史・文化といったことを得ておくこ とが、大切です。海外では、政治や歴史的な絡みから、私たち日本人にとって そこは、快適に旅ができる場所かどうかを正しく判断しないと、自分の命に関 わることがあります。ありとあらゆる情報が駆け巡っている現代では、情報を 自ら正しく判断することは、大変難しいのですが、こればっかりは日ごろの訓 練しかありません。
 また、そのほかの情報の得かたとしては、現地に暮らしている(暮らしてい た)人から情報を得ることも有効だと思います。やはり長く暮らしていた人の 話は、信憑性や説得力があります。機会があれば、旅に行く前に話を聴いて、 情報を得ることが大切です。
 旅先に行って、現地で情報を得ることもありますが、やはり準備の段階で、 いかに多くの情報を得て、それを正しく判断・整理することが旅を楽しむ第一 歩ではないでしょうか?
 「旅の計画書」(コラムその2を参照)をもとに、旅先の情報を集めた後は、もう少し詳しく旅先での日程表を書くとよ いでしょう。特に、海外への旅の場合は、出国・帰国の飛行機の時間に合わせ てスケジューリングしないと、帰国便に乗り遅れ、日本に帰れなくなる可能性 もでてきます。

 海外への旅に関わらず、旅には「余裕」を持ったスケジューリングが必要で す。でもこれがなかなか難しい・・・。「ここにもあそこにも行きたい」と思 いちょっとタイトなスケジュールにすると、目的地に着いた途端、次の目的地 に行かなければならないという事態になってしまう。

 そこで、もう一度「旅の計画書」を見直して、なんのために旅に行くのか考 え、スケジューリングをしていくといいかもしれません。
例えば、「この旅でここだけは訪れたい」とか「これだけは体験しておきたい」 といういうものを最優先して、その目的が達成されたあとに、時間的に余裕が あるときは、「おまけ的」に次に行きたいところに行く、したい体験などをす るようにスケジューリングします。あくまでも「ここだけは!」「これだけは! 」というものを大切にし、ほかのことは「今度の旅で達成する!」という割り 切りが必要なのです。

 海外への旅の場合は、旅先の環境が日本とは違いますので、その国に着いた その日とできれば次の日は、その国の環境に慣れることと情報集めのために費 やし、最低でも到着後2日目から行動を開始するスケジュールにしましょう。2 日目からは、「旅の計画書」に書いておいた「旅の目的」を達成する場所に行 ったり、体験したりするようにしましょう。
 また、帰国のことも考えると、帰国の日はもちろんのことその前日も、帰国 の便が出る空港近くのまちで、お土産を買ったり、帰国の準備をしたりするよ うにしましょう。タイトにスケジューリングすると日本に帰れなくなったり、 思わぬトラブルに遭い、慌ててしまうことになりかねません。
(もちろん何度も訪れている国・地域であれば、到着後即行動、帰国の便の日 に空港近くのまちに着くスケジュールでもOKでしょう)

 旅のスケジュールは、びっしり埋まっていた方が良い気がしますが、実は逆 に「ここだけは!」「これだけは!」という目的をハイライトさせるためにも、 あえて空白の時間を作ることが大切なのです。
 昨年、相次いでイラクでの邦人誘拐事件が起きました。幸い、最悪の事態は避けられ ましたが、残念ながらいまイラクは戦争地帯であり、かなり危険な国となって います。
 テレビやインターネットでの情報網が、しっかりしてきたので、最近では、 タイムリーに世界各国の情報を得ることができます。
 しかし、特に海外への旅となると旅先である国の治安状況や政治などもしっ かり把握しておくことが大切にあります。

 イラクやパレスチナに代表される紛争・戦争地域であるかどうか、スリや犯 罪の多く治安が悪いかどうかなど、事前に調べておくことをお勧めします。
また、アメリカでのテロ以降、治安がいいと思われている国でも、政治的な関 係で、一転、危険な国となりうるので、世界のニュースなどは、日ごろからチ ェックが必要です。

 外務省のホームページには、各国の危険地域情報などが載っているサイト 「海外安全ホームページ」があります。一応チェックしておくとよいでしょう。
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/index.html

 みなさんは、「PDCA」という言葉を聞いたことがありますか? 教育の現場や体験活動の場で、よく「PDCA」という言葉が出てきます。
 この「PDCA」は、それぞれ「Plan:計画」→「Do:実行」→「C heck:評価」→「Action:再試行」の頭文字で、この一巡のサイク ルを表しています。

 つまり、旅も計画をして、実際に旅してみて、旅の写真や日記などで旅を振 り返り、再び旅の計画を立てるという「PDCA」のサイクルなのです。旅で、 大事なのが、「Do」と「Check」の部分です。
 「Do」は、旅先でのことを表すと思いますが、この「Do」の中にも「P DCA」という小さなサイクルがたくさん含まれています。旅先で計画とは違 った事態になった時、急きょその場でルートや宿を決め、実際にそれで行動し てみる。「このルートは失敗したな」とか「民宿はやっぱりよかったな」とい う実際にとった行動の評価をし、次にルートや宿選びの参考にする。みなさん も、気づかないうちに旅先でもいくつもの「PDCA」を実は、体験していま す。
 また、「Check」の部分は、どこに当たるかといいますと、旅先から帰 ってきて後日、旅先の写真を眺め、「いい人に出会ったな」とか「素晴らしい 風景を見られてよかったな」と思うことでも十分に「Check」の意味があ ります。また、ちょっと時間があるときは、今度同じような旅をするときには、 「こういうことをしよう」とか「これだけは止めておこう」という旅の振り返 りと共に次の旅への心がけを出しておくと、次の旅の計画がさらに、楽しいも のになることでしょう。

 みなさんも、旅の「PDCA」のサイクルを少し意識して、計画を立てたり、 いままでの旅を振り返ってみませんか?
 私は、人の短い人生の中で、「ひとり旅」というのは、特別なように感じて います。

 学生の頃の「ひとり旅」を経験し、旅先での人の温かさと共に、「自分の成 長」というものを実感していました。それは、誰にも頼らず直面する困難に対 処しなければいけない場面が多くあり、それを何とか乗り切ったからだと思い ます。
 例えば、普段は家族や誰かが作ってくれた食事を、旅先では自分で作るとい う些細なことから、人によっては、生命の危機にさらされた危機一髪の場面で、 あの判断を自分でしたから困難を乗り越え、いまを生きているというという 「ひとり旅」もあるはずです。

 でも、旅であろうがなかろうが、直面する困難の壁がどうであれ、自分で困 難を乗り越えようと何かをすることは、自分の可能性を信じることにつながる と思います。「ひとり旅」でも自分を信じることが大きな力になります。
 寂しくても、辛くても、自分の可能性を信じてした「ひとり旅」は、きっと 他人に誇れる「宝物」になります。また、「ひとり旅」は、普段気づきにくい 自分の性格や「本当の自分」に気づくきっかけを与えてくれると思います。
 そう、「ひとり旅」には、多くの魅力が溢れています。

    (「ひとり旅のつくり方講座(海外編)」の報告書のあとがきより)

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